多くの国には代表的な漫画やアニメーションが存在します。作品によっては世界的な人気を誇り、関連グッズが爆発的に売れることも少なくありません。近年、日本の漫画やアニメーションは世界的に知られるようになり、関連グッズを購入するために来日する外国人が増加しています。また、日本の漫画を読んだり、アニメーションを見たりすることをきっかけに、日本文化に興味を持つ外国人も増加していて、現代の大衆文化が貴重な存在と言えます。
日本の漫画は歴史が長く、その起源は12世紀に遡ります。平安時代(794〜1185年)の末期から鎌倉時代(1185〜1333年)の初期にかけて描かれた『鳥獣人物戯画』は、日本最古の漫画とされています。全4巻にわたって描かれたこの作品は、現代の漫画とは大きく異なりますが、現代の漫画で用いられる技法も取り入れられています。京都府京都市の栂尾山高山寺で描かれ、部分により、描き方が異なっているので、複数の僧侶が描いたと考えられています。
当時の漫画は絵だけで描かれていましたが、やがて現代の漫画のように少しずつ言葉が加わるようになりました。大正12年(1923年)には、新聞で『ノンキナトウサン』や『正チャンの冒険』といった漫画が連載され、これらの作品には、それまでになかったコマ割りや吹き出しが取り入れられ、現代の漫画と同様の形に仕上がりました。昭和時代(1926〜1989年)に入ると、漫画は毛筆からペンで描かれるようになり、とても大きな変化でした。
一方で、日本のアニメーションは20世紀に入ってから誕生し、大正6年(1919年)には、日本初のアニメーションとされる『芋川椋三玄関番の巻』(いもかわむくぞうげんかんばんのまき)が制作されました。そのアニメーションのフィルムは現存せず、現在では見ることができません。その後、有名な漫画家・手塚治虫の作品『鉄腕アトム』がアニメーション化され、それを契機に、高く評価される日本のアニメーションが次々と誕生しました。アニメーション化された日本の漫画もあれば、最初からアニメーションとして制作された作品もあります。また、日本のアニメーションが漫画化される例もあります。
日本の漫画やアニメーションの大きな特徴の1つは、登場人物の描き方です。特に、大きく丸い目で描かれた登場人物が多く見られます。この描き方が定着した理由はいくつかあります。その1つは、手塚治虫の『鉄腕アトム』に登場する人物の描き方が関係しています。手塚治虫はその作品の登場人物の目を大きく描き、他の漫画家も影響を受け、その描き方を模倣し、作品の登場人物の目を大きく描くようになりました。戦前から手塚治虫以外の漫画家も大きな目を描いていましたが、手塚治虫の漫画やアニメーションが登場するまでは定着しませんでした。
特徴的な目が定着したもう1つの理由は、昭和17年(1942年)に上映されたディズニー映画『バンビ』にあると考えられます。この映画では、バンビがとても可愛らしく描かれ、より可愛く見せるために目を大きく描きました。この映画の登場人物の描き方を模倣した漫画家がいたとも言われています。
また、日本には「可愛い文化」があり、日本人は「可愛い」物が大好きです。『バンビ』の影響による物ではなく、登場人物を可愛く見せるために目を大きく描くことが多いとも言われています。その上、登場人物の目を大きく描くと感情が表現しやすくなります。
日本の漫画やアニメーションにはどのような物があるのか、以下で紹介しています。登場する街や建物の一部は日本に実在していて、そうした建物がどこにあるかも紹介しています。こうした作品に関心を持ち、更に、興味を深めてもらえると嬉しいです。