著者:リチャード・パーキンス
撮影日:2021年07月10日・2022年8月14日
住所:〒104-0061 東京都中央区
銀座8丁目16−10
最先端の建物として東京都中央区の銀座に、かつて「中銀カプセルタワービル」という建物が建立されていました。黒川紀章という建築家によって建設されたこの高層ビルは、1972年に竣工しました。他の建物と異なり、部屋が建物の中になく、個々のカプセルが重なっているのです。
全ての部屋を個々のカプセルにすることで、使用できなくなった部屋が出てくれば、そのカプセルだけ取り、新しいカプセルに交換できる斬新な仕組みでした。画期的な案ですが、一台のカプセルを建立するのに莫大なお金が必要で、カプセルの交換が不可能だったそうです。管理するのにお金の削減ができると思われたビルでしたが、実践的ではありませんでした。
建立されてから次々と中銀カプセルタワービルにあったカプセルの状態が悪化し、使用できない状態に変化していきました。このビルのお湯が出なくなった上に、屋根が崩れ落ちているカプセルがあったので、在住できる環境ではありませんでした。それでも、中銀カプセルタワービルが大好きな人がいました。まだ使用できそうなカプセルを購入したり、借用したりし、それを改装する人がいました。また、改装したカプセルを事務所などで使用し、中銀カプセルタワービルが少し甦っていました。
中銀カプセルタワービルの構造が複雑で、必要な修理ができないため、このまま残すかどうか、解体するかどうか長い間議論されていました。しかし、やはり維持費や修復の問題が深刻なので、正式に解体が決定され、中銀カプセルタワービルの歴史に幕が下ろされてしまいました。上記の通り、中銀カプセルタワービルの部屋を改装する人がいたり、ツアーが行われ、実際にどういう建物なのか大勢のファンがこの建物の内装を楽しんだりしたので、「解体は残念」と様々な声が寄せられています。とても特徴的な建物だった中銀カプセルタワービルが解体されるとは、本当に残念です。
解体される前の写真です。
解体された後の写真です。