九品山唯在念佛院浄真寺が建立される前、同じ場所に「奥沢城」がありました。奥沢城の主だった大平出羽守(おおひらでわのかみ)に常盤姫という娘がいました。年頃になってから常盤姫が世田谷城の主だった吉良頼康(きらよりやす)の側室になります。吉良頼康は常盤姫の美しさに惹かれ、好きになっていきますが、他の側室に嫉妬されてしまいます。この側室達は、常盤姫が姦通したという不正な噂を流します。何回かこの噂を耳にすると、吉良頼康がその噂を信じてしまい、常盤姫を遠ざけるようになります。悲しくなった常盤姫は、子供の頃から好きだった白鷺(はくさぎ)の足に真実が書き記された手紙を結び、奥沢城へ放ちました。奥沢城の近くに狩りをしていた吉良頼康は、常盤姫が放った白鷺が目に入り、それを射りました。足に結ばれた手紙に気が付き、常盤姫の無実を知りました。そして、急いで常盤姫のいる世田谷城へ駆け付けました。しかし、吉良頼康は遅すぎ、常盤姫はもう自殺をしてしまいました。その後、射った白鷺を奥沢城付近に埋めて供養をすると、白鷺の埋まった場所に白鷺に似た花が咲きます。「さぎ草」と言われる花で、現在は世田谷区の花に指定されています。
この伝説を基に、九品山唯在念佛院浄真寺の境内に白鷺の像があります。常盤姫が放った白鷺と同様に、この白鷺の像にさぎ草の絵馬を結ぶことができます。
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